キャンプや車中泊のようなアウトドアシーンから、いざという時の備えとしての防災用途まで、ここ数年で急速に注目が集まっているのがポータブル電源です。
需要の増加とともにメーカーや商品の選択肢も増え、バッテリー容量や出力、大きさや重量など、自分に合ったポータブル電源選びをしやすくなりました。
スマホの充電に使うモバイルバッテリーと同程度の電源容量に抑えつつサイズをコンパクトにした物や、逆にとにかく巨大な容量・出力を備えたパワフルな物まで様々です。
そんな中から今回は、電源容量1920Wh/600000mAh・定格出力2000Wの超大容量&大出力可能なポータブル電源『Pecron E2000LFP』を紹介します。
キャンプでも使用してきましたので、その様子も含めてポータブル電源選びの参考にしてみてください。
- Pecron E2000LFP ポータブル電源の特徴
- Pecron E2000LFP ポータブル電源 外観・端子類
- Pecron E2000LFP 使用レビュー
- Pecron E2000LFPをキャンプで使ってみた
- Pecron E2000LFPは超大容量で安心して使えるポータブル電源!
Pecron E2000LFP ポータブル電源の特徴
本日紹介するのは、PECRON(ペクロン)の1920Whポータブル電源『Pecron E2000LFP』です。レビューを書くにあたり、メーカーから提供していただきました。
E2000LFPの特徴はなんといってもその容量と出力の大きさでしょう。
電源容量は1920Wh/600000mAh、定格出力は2000W、瞬間最大出力は4000Wに対応しています。
一般的な家庭用のコンセントが1500Wまでと考えると、E2000LFPの出力の大きさがイメージしやすいのではないでしょうか。
また、最近話題のリン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)を採用しており、充放電を3,500回行った後も新品時の80%以上の容量を維持できる寿命の長さや安全性の高さも長所とされています。
Pecron E1500 PRO・E3000との違いと選び方
PECRONにはE2000LFP以外にもポータブル電源の商品展開があり、購入時の比較対象となるであろう『E1500 PRO』と『E3000』について、違いを簡単に見ておきましょう。
まず、1450Wh/453125mAhと容量がひと回り小さいE1500 PROは、E2000LFPやE3000に無い独自の魅力を備えており、それらを箇条書きでまとめてみます。
- UPS機能
- ACアダプター無しでの高速充電
- 50Hz/60Hz対応
UPS(無停電電源装置)としても使えたり、ACアダプターが無くケーブルのみをコンセントに繋ぐだけで充電できる等、使い勝手・取り回しの良さに優れた製品となっていますね。
続いてE3000ですが、こちらはとにかく電池容量を重視した製品となっており、3108Wh/863000mAhという超大容量のモンスター仕様です。
出力ポートの種類や数はE2000LFPとE3000は共通で16デバイスへの同時給電が、E1500 PROはAC出力が3つ少ないため13デバイスへの同時給電が、それぞれ可能となっています。
そして、3機種の特徴をもとに、自分に合ったポータブル電源の選び方をまとめると以下のようになります。
- 使い勝手で選ぶならE1500 PRO
- 長寿命で安心安全のE2000LFP
- とにかくデカいE3000
自分に必要な容量と出力を計算してからの比較がおすすめ
個人的に、ポータブル電源選びで最も重要なポイントは「自分の目的や利用シーンに合った容量と出力」です。
どんなに優れた機能を備えていたり、ものすごく安かったとしても、容量や出力が足りていなければ意味がありません。
たとえば「暖房器具をキャンプの夜に一晩使いたい」という目的があるのに、「2~3時間で電池が切れてしまう」「出力が足りずにそもそも起動すらしない」となっては無意味ですよね。
そのため、まずは自分の利用シーンで必要な容量と出力を計算し、そのうえで商品選びと比較をしていくことが大切です。
また、メーカーが公開しているスペック上の定格出力・最大出力は問題無くても、実際に機器を繋いでみたら電力が足りずに動かない、なんて例も珍しくありません。
実際に私も自分で購入した物やメーカーからの提供品も含めて10台以上を試してきましたが、定格出力300W・瞬間最大出力600Wを謳っているのに200W程度の機器を繋ぐと電源が落ちてしまう製品もありました。
今回紹介するE2000LFPと、比較対象として先ほど例に挙げたE1500 PRO・E3000はいずれも出力は定格2000W・瞬間最大4000Wで共通となっています。
そのため出力を考慮する必要が無いので、まずは必要な容量を計算し、その後に機能面や特徴で選ぶという流れをおすすめします。
Pecron E2000LFP ポータブル電源 外観・端子類
それでは本日の主役であるE2000LFPに話を戻し、実際の製品を見ていきましょう。
まず驚くのが箱の大きさと重さですね。
シンプルな箱にPORTABLE POWER STATIONと書かれていますが、「ポータブル…?」と疑問が浮かぶほどの圧倒的存在感です。
重量を計測してみると28.9kgでした。階段を上がるのが文字通り重労働でしたね。
というわけで開封してみました。
本体正面から見ていきましょう。
基本的な入出力端子は、ほぼ全て正面側に集約されています。
出力端子は以下の通りで、ワイヤレス充電以外は全て正面からアクセスできます。
- AC出力ポート×6
- USB-C出力ポート×1(最大100W)
- USB-C出力ポート×1(最大18W)
- USB-A出力ポート×1(最大18W)
- USB-A出力ポート×3(最大10W)
- DC出力ポート×2
- シガーソケット出力ポート×1
- ワイヤレス充電×1(最大15W)
ポータブル電源本体を充電するための入力端子も複数用意されており、ACアダプター等を繋ぐGX16MF充電ポートが2つと、シガーソケットから繋ぐDC5521充電ポートが1つの計3ポートとなります。
2つのGX16MF充電ポートにはACアダプター+ソーラーチャージャーなど、2つを同時に使用してのデュアル急速充電も行える仕様です。
本体天面には最大15Wのワイヤレス充電が配置されているため、対応したスマートフォンなどを持っていれば置くだけ充電も可能です。
本体の側面には冷却用のファンが2基と、下部には専用の拡張ケーブルを接続するためのポートが用意されています。
専用の容量拡張バッテリーを繋ぐことで、なんと最大8064Whまで容量を大きくできるのだとか。
ただし、2022年11月現在ですと日本国内では拡張バッテリーは未発売となっており、お値段が気になるところですね。
反対側の側面や背面には端子などは無く、充電したい各機器類との接続を正面側のみで完結できるのは非常に使いやすいです。
ボタンを長押しして電源を起動してみました。
液晶ディスプレイでは、電力・バッテリー残量といった基本的な項目に加え、使用可能時間も表示してくれます。
安価なポータブル電源ですと20%刻みでの5段階で残量を表示する製品も多いですが、「思っていたより電力の消費が激しく、気付いたら電池切れ寸前だった」なんて事態になりかねません。
その点、1%単位でのバッテリー残量と使用可能時間が細かく分かるのは、冬キャンプでの暖房器具等を使用するペースを把握しやすく、細かいながら重宝するポイントです。
付属品も見ていきましょう。
- AC充電アダプター
- MC4 ソーラー充電ケーブル×2
- 車載用充電ケーブル
- 付属品収納袋
- 防塵カバー
- 取扱説明書&保証書
ケーブルが入っていた小箱も、メーカーロゴが描かれたステッカーで封をされているなど、細かい点が可愛くて良いですね。
AC充電アダプターや取扱説明書などは、こちらの付属品収納袋に入っています。
縫製が甘かったり雑な点も見られますが、オマケと考えればむしろ上等でしょう。
かなり薄手ではありますがパッドも内蔵しているので、ACアダプターの持ち運び時に他の道具を傷つけるのを防いでくれます。
ACアダプターは金属製の筐体…アルミでしょうか、マットな質感のブラックカラーで仕上げられていてクールです。
こちらは本体の防塵カバーです。
正面側にファスナーが付いているため、カバーを装着したまま各端子にアクセスできます。
ただし、側面の通気口もカバーで覆ってしまうため、メーカーとしてはカバーを被せたままでの電源の使用は非推奨とのことです。
Pecron E2000LFP 使用レビュー
ここからは、Pecron E2000LFPを実際に使ってみた感想を書いていきます。
外観面でも触れましたが、電池残量や使用可能時間を細かく表示してくれるディスプレイはやはり便利ですね。
ワットチェッカーを使って消費電力を比較してみたところ、誤差は1%程度とかなり正確だった点も好印象です。
大容量・大出力のパワフルなポータブル電源なので当然ですが、重量はかなり大きい点は要注意ですね。
電源本体のみでも22kgほどあり、耐荷重30kgのフィールドラックに載せた際にもラックの脚がしなるほどにはズッシリとしています。
これだけ重たい電源となると、ラックよりもクーラースタンドの方が合っているかもしれませんね。
Pecron E2000LFP 出力テストで分かった変換効率の高さ
私がポータブル電源をテストする際に1つの指標としているのが「プロジェクターを動かせるかどうか」です。
普段から愛用しているVANKYOのプロジェクターは投影中には160W前後で動くのですが、起動直後などには瞬間的にもっと大きな電力を消費します。
この一瞬だけかかる電力に耐えられず、電源が落ちてしまうポータブル電源も少なくありませんでした。
E2000LFPはというと、流石の安定感でまったく問題無しですね。
そのまま電池残量の減り方をチェックしてみましょう。
AC出力スイッチを長押しすると、インバーター(変換器)が起動します。この時点での電池残量は79%で使用可能時間は101時間となっています。
メーカーによると「インバーターのみで12~15Wほど電力を消費する」とのことですので、ACで機器を繋ぐ時のみオンにしておきましょう。
ちなみにE2000LFPの使用可能時間表示は、インバーターによる消費電力も計算に含められています。
プロジェクターを起動し、165Wの電力がかかると使用可能時間は8.2時間となりました。
165W(プロジェクター)+15W(インバーター)で180W、そこに8.2時間をかけると1470Whとなり、残量79%なので0.79で割ると1868Whが実質の使用可能な電池容量となります。
スペック上は1920Whとありますが、インバーターによる消費電力を含めると変換効率90%を軽く超えています。
インバーターもロスと考え、使用している機器のみの165Wで計算しても効率89%ほどですので滅茶苦茶優秀ですね。
ここから、数時間使用してみて数値の変化を見ていきます。
1時間後、電池残量は69%で使用可能時間は7.3時間となりました。
使用可能時間が少し延びたのは、プロジェクターの消費電力が161~163Wほどで落ち着いたためでしょう。
この時点での数値で計算すると、161+15Wに7.3時間をかけて1284.8Wh、そして0.69で割ると1862Whとなり、1時間前と計算結果にズレがほぼありません。
それからさらに5時間10分後、計6時間ほど経過した時点の結果がこちらです。
電池残量は23%で使用可能時間は2.4時間となりました。
使用可能時間の減り方がとにかく正確です!
数値も計算してみますと、161+15Wに2.4時間をかけて0.23で割ると1836.5Whと、テスト開始時・1時間後・6時間後で一貫して安定しています。
このズレの小ささ、正確さはキャンプシーンでも心強いですね。
使用可能時間をチェックすれば安心して使える
E2000LFPのディスプレイですが、使用可能時間はインバーターの消費電力も含めて計算しているのに対し、AC出力については「繋いだ機器のみで消費した電力」を表示しています。
また、インバーターによる消費電力は繋いだ機器に関係なくほぼ一定で、たとえば20Wにも満たないような電力消費の小さい機器でも同様に15Wほどかかります。
消費電力12~13Wのサーキュレーターで電池持ちのテストをしたところ、やけに残量の減りが大きいなと思いましたが、インバーターによる電力消費がサーキュレーターと同程度あるわけですから当然ですね。
表示165Wに対して実際に消費しているのが180Wならば誤差は10%未満ですが、13Wに対して28Wなんて倍以上ですから。
とはいえ実際に電源を使用する際にはインバーターの分を考慮した消費電力計算なんて必要無く、使用可能時間だけを見ておけばOKです。
ポータブル電源本体の充電も超高速!
E2000LFPのような超大容量のポータブル電源で気になるのが、電源本体の充電速度です。
容量がどんなに大きくても、電源本体を充電するのに時間がかかってしまうと、たとえばキャンプ当日の朝になって充電し忘れていたことに気付いても間に合いません。
その点、E2000LFPはACアダプターも高出力になっており、なんと500W以上の電力で超高速充電をしてくれます。
電子レンジをずっと動かしているようなものだと思えば、そのパワーがイメージしやすいのではないでしょうか。
そのため超大容量のE2000LFPでも4時間ほどでフル充電が可能ですし、そもそもフル充電しなくとも1泊2日のキャンプ程度であれば朝の支度中に1~2時間ほど充電しておくだけでも足りるかもしれません。
Pecron E2000LFPをキャンプで使ってみた
E2000LFPをキャンプにも持って行ってみました。
この日は10月半ば頃のふもとっぱらキャンプ場で、標高はやや高く朝晩は冷えますが暖房器具はまだ必要無いかな、といった気候でした。
そのため、ポータブル電源は主に電子機器の充電が活躍の機会になります。
ノートパソコンを繋げば、最高の景色を眺めつつ、心地の良い風を浴びながら仕事を行えます!
ワーケーションをするならポータブル電源はマストバイですね。
私のPCはUSB-C充電に対応しているため、ACを使わずに最大100WのUSB-Cポートから給電可能です。
インバータ分の電力を節約できるので、使用可能時間が倍近いですね。
夜に活躍するLEDランタンの充電も、ポート数が多いからまとめて出来ちゃいます。
こちらはゴールゼロを3本とNATURAのLEDランタン2本を同時に充電しているところです。
LEDランタンはキャンプ前夜に充電するように心掛けていますが、忙しくて忘れてしまう日もよくありますので、キャンプ場に着いてからでもサッと充電できるのは助かります。
ソーラーパネルで充電してみた
快晴のキャンプ場にポータブル電源があればやることは1つ、ソーラーパネルでの太陽光充電です!
こちらの『PECRON 200W ソーラーパネル 36V』もメーカーから提供していただきました。
ソーラーパネルも過去に何枚か使用しましたが、こちらもまた過去最大サイズ&出力の製品になります。
過去に試したソーラーパネルで最大の製品は定格出力100Wで実際には45Wほどを記録できましたが、果たして今回はどのくらい出るでしょうか…。
結果がこちら。なんと183Wもの電力が出ております!
そこそこ大きな電力が必要なプロジェクターで消費する以上の電力を、太陽光から生み出せるって凄くないですか?
私は正直驚きました。
充電ケーブルの長さも余裕があるので、ソーラーパネルを外に出しつつ、電源はテントやタープの日陰に置くことも可能です。
この日は朝から暑いくらいの陽射しでしたが、テントの前室部分にテーブルやラックを広げて自分と電源は涼しく快適な環境にいながら、ソーラーパネルで太陽光をしっかりと活用できました。
ハトメを増やしてほしい
超大容量ポータブル電源の相棒として相応しい大出力ソーラーパネルですが、気になる点が1つありました。
それがハトメの少なさです。
展開時の四隅にハトメがあり、フック等で吊り下げられるのですが、もう少し数を増やしてほしかったですね。
と言いますのも、こちらのソーラーパネルは重量が8.8kgあります。
自宅では物干し竿にS字フックで引っかけて充電しているのですが、8.8kgを2ヶ所のみで固定するのは少々不安です。
とはいえ、こんな状態でも130Wほどの電力が生み出せるのですから驚きですね。
Pecron E2000LFPは超大容量で安心して使えるポータブル電源!
今回紹介したPecron E2000LFPは電源容量1920Wh/600000mAh・定格出力2000Wという超大容量&大出力可能なポータブル電源です。
そんなモンスター級のスペックに大味な印象を受けがちですが、実際に使用してみると変換効率の高さや使用可能時間表示の正確さなど、細かい点まで行き届いた製品だと感じました。
長寿命を謳うリン酸鉄リチウムイオン電池を採用したポータブル電源は多く出てきていますが、実のところ寿命なんて壊れてみるまでは分からないですよね。
では、どこで「本当に良い電源かどうか」を判断するかですが、先ほど良い点として挙げた「変換効率の高さ」と「使用可能時間表示の正確さ」なんて、まさにその見るべきポイントだと私は考えています。
- スペックで書かれているほど電池が持たない
- 使用可能時間のブレが大きい
たとえば、こんな電源が「長寿命です!安心して使えます!」なんてアピールされていて、果たして信用できるでしょうか。
2000Whクラスの電源ともなるとお値段も20万近くしますし、決して安い買い物ではありません。
だからこそ、信頼できる製品を選んで使いたいものですね。
自分で購入した物からメーカーからの提供品まで含め、10台以上のポータブル電源を使用してきましたが、今回のPecron E2000LFPはその中でも1、2を争うほど満足度の高い製品でした。
とにかく大容量のポータブル電源が欲しいと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。